珈琲ノート

焙煎とは?

珈琲ノート

「焙煎」と聞いてどんなイメージを持つでしょうか。

私は、ポップコーンのように「炒って表面を焦がす」イメージを持っていました。
小学生の頃、少し焦がしたパンが好きでよく食べていたのですが、母に「ガンになるから焦げたところを食べない方がいい」と言われていました。そこから「コーヒー = 焦げ = 体に良くない飲み物」の呪縛がずっと残り、成人後もコーヒーと距離を置いていたのかもしれません。あの真っ黒なコーヒー豆はさすがに焦がし過ぎなのではないか…と。

焙煎とは

焙煎・炒る とは「食材に熱を加えることによって、食材を適度に焦がし、食材が内部に隠し持っている風味や味を引き出すこと」とあります。
コーヒーの焙煎に限ると「熱によってコーヒー豆の成分に化学反応を起こして、コーヒーの香り成分・旨味成分を適度につくること」になります。

熱を加える=化学反応

普段の料理でも熱を加えるという作業を行いますが、これが「化学反応」を起こしている、という意識をしたことはありますか?
「タンパク質は熱を加えると固まるので卵焼きができて、いい感じの焼き色がつく」これも科学ですが、「いい感じの焼き色」をつくる原理が、「食品の表面温度が高くなると化学反応が起こって褐色物質がつくられる。この褐色物質を焼き色と表現しており、この化学反応には主に、糖が100℃以上に加熱されると分解して褐色化するカラメル化反応と、糖とアミノ酸やたんぱく質が反応してメラノイジンという褐色物質を作るアミノ・カルボニ反応(メイラード反応)がある。
メイラード反応は過熱しなくても常温でも起こるが、一般に化学反応は温度が高いほど速やかに進行する」…と、ここまで説明されると立派な化学ですね。

卵つながりで、「ゆで卵の黄身の周りが青黒くなるのを防ぐためには、ゆでた直後に冷水で冷やせばいい」という おばあちゃんの知恵袋的な知識も、
「卵黄は酸性、卵白はアルカリ性であり、卵白中の含硫アミノ酸の方が分解されやすい。卵白中で発生した硫化水素が、卵黄に含まれる鉄分と反応すると暗緑色の硫化第一鉄となり、卵黄の回りが青黒くなる。しかし、ゆでた直後に冷水で急激に冷やすことで殻の近くの圧力が下がり、卵白で発生した硫化水素が殻の方(外側)に向かって移動するため(内側の)卵黄表面に達しないこと、そして、冷やすと硫化水素の発生を止めることができるので、黄身の変色を防ぐことができる。」
…と、化学的に解説されることで腹落ちする事はありませんか?

焙煎の師匠に紹介いただいた参考図書『おいしさをつくる「熱」の科学』という本は 普段の料理を少し科学的に意識するきっかけになる、「なるほど」が詰まった内容です。

ちなみに、科学と化学の違い…(正しく使い分けができている自信はないのですが)
「科学:science」とは、対象を観察、実験することによって導き出された知識、法則の総称のことを指す言葉です。 それに対し、「化学:chemistry」は、物質の構造や性質、物質相互間の反応などを研究する1つの分野(科学の一部)のことを指しています。

わき道に逸れすぎて、瞼が重くなるような内容になってきました・・・
コーヒー焙煎の話に戻ります。

コーヒー豆の化学反応

コーヒーの生豆は非常に硬く、そのままお湯に入れた程度では有効成分を引き出せません。
焙煎すると、生豆に含まれている水分が表面近くから水蒸気になって抜けて、表面の細胞組織が収縮します。
そして、中まで熱が通ると今度は内側から膨張し、先の収縮との相互作用で、内側から破裂します。この破裂をハゼるといいます。「ハゼる」は、カタカナで認識していましたが「爆ぜる」という漢字があり、まさに爆発のイメージです。
ハゼることで 穴だらけのスポンジのような多孔質の構造になり、閉じ込められていたカフェイン、その他の成分が露出し、揮発しにくい油性成分も表面に滲み出してきて、味と香りの成分がお湯に溶け出しやすくなります。(ポップコーン遠からず!)

焙煎の過程で起こる主な反応は以下の3つです。

熱分解 熱を受けた物質の分子構造を変える反応で、フレーバーを生み出す。
メイラード反応 熱により褐色物質が生まれる反応で、フレーバーや香味を生み出す。
カラメル化 カラメル色素を生む反応で、甘みや苦みを生み出す。

そして、それぞれの味を感じさせる成分は下記のとおりです。

酸味 生豆にもともと含まれているクエン酸やリンゴ酸のほかに、焙煎の熱によりショ糖やクロロゲン酸から新たに多くの有機酸(酢酸、キナ酸など)が生成され、味覚に影響を及ぼしている。
豆によってこれらの比率が異なるため、酸味の質や強さが変わる。
焙煎が進むと酸は熱分解されるため、浅煎りほど酸味が強く、深煎りでは酸味が減る傾向にある。
苦み 苦みの元となる成分は多種にわたる。従来、カフェインの作用によるものとされてきたが、デカフェのコーヒーにも苦みがある。
現在は生豆中のクロロゲン酸(ポリフェノール)が焙煎の熱で別の成分になり、コーヒーの苦みを形成する一番の要因になっているという説が有力。
メイラード反応で生じる褐色色素の影響が合大きく、焙煎が深くなると苦みが強くなり、カラメル化で生じるカラメル色素も苦みを生む。
甘み カラメル化により生じるフラノン類などで生まれるとみられているが、苦み、酸味ほど研究が進んでいない。
ちなみに、生豆に含まれているショ糖は、焙煎するとすぐに熱分解されてしまう。

焙煎が進むにつれて減る成分と増える成分があります。
(減るのは 酸全体、タンパク質、ショ糖、増えるのは 酢酸、脂肪酸、乳酸)
これらの含有割合により特徴のある味わいになるものの、焙煎後の成分は数百種類に上り、科学的にどの成分がどんな味わいを作っているかが究明されているわけではありません。

科学的な答え合わせができない中で、苦みと酸味と甘みをバランスよく引き出すのが『焙煎技術』という事になります。

今回は、定義の説明や参考記事の切り貼りが多く、堅苦しい内容になってしまいました。次回はもう少し動きのある内容、焙煎の流れ についてまとめたいと思います。

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